子供の頃からいわゆる「天然パーマ」で、根深いコンプレックスを抱えて生きてきました。そんな自分からすると、わざわざお金を払ってパーマをかける人の気が知れない、というのが正直な感想でした。天然パーマの髪質でも髪の色が濃くなく、どちらかと言えばブラウンに近いのが唯一の救いとも言えなくはなく、それを褒められることもありました。ですが、どんな言葉で褒められてもお世辞にしか聞こえず、自信などとても持てなかったです。
社会人になってからこまめにストレートパーマをかけて、自分なりにコンプレックスを克服しようと努めました。矛盾しているのですが、「お金を払ってパーマをかける」ようになった自分はコンプレックスを解消するためには方法として仕方がないと思い、自分を完全に棚上げしたことになります。実は高校生の頃からバイトをして、お金を溜めてストレートパーマをかけるようにはしていましたが、4か月に1回できれば良い方でした。施術の効果が続くのはせいぜい1か月くらいで元に戻ってしまい、そのため根本的なストレスを除くことにはならず、逆にストレスを溜めこんだ結果になった記憶が残っています。
社会人になった後でも実家暮らしを続けていたので、パーマに割けるお金は増えました。毎月かけて天然パーマに対処できるようになり、ストレスも軽減するようにはなりました。でもかけたパーマも過去と同じく持って1か月ほどで、最初は喜んでいた毎月施術をすることも、だんだん苦痛に変わってきました。
20代後半から完全に縮毛矯正に切り替え、10年ほどずっとそれを続けました。ですが、髪へのダメージはストレートパーマ以上で、髪のボリュームが目に見えて少なくなっていったのには本当にショックでした。現在では髪をボブ以上に伸ばすことはできなくなり、ショートカット以外のスタイルの選択肢を失っています。伸ばすと天然パーマの髪質が手に負えない状態になり、ストレートパーマをかけるか縮毛矯正をするかになって、乏しくなった髪のボリュームに追い打ちをかけることになるからです。恥ずかしい話ですが30代にして頭のてっぺんがすでに寂しくなっていて、その頃から怖くてカット以外の施術を受ける気になれなくなりました。数年前から白髪も増え始め、元々の髪の色が濃くなかったことが、ここに来ても幸いしているのが我ながらなんとも微妙な気持ちになります。
天然パーマを必要以上に毛嫌いしたツケは大きかったなと、今さらですが後悔しています。ですが、自分のような髪質の人の割合は決して多いとは言えないので、髪のおしゃれも十分に楽しむことができず、真っ直ぐな髪質で生まれてきた人は無条件にうらやましく思います。