親切に仕事を教えてあげた二人の後輩が同時に退職願を提出して、翌月には私に挨拶もしないで逃げるように退職したことがありました。私は感情的に怒鳴ったりパワハラを行った覚えはないので、どうして仕事が嫌になったのか理解できなかったのです。そんなとき、社長の一言で合点がいきました。ベテランでも根を上げそうなスケジュールで難しい仕事に挑戦していたようで、徐々に追い詰められた結果として退職を選んだのです。
後輩たちは納期が迫っている仕事を放り出して退職したので、誰かが代わりに業務を行うしかありませんでした。会社では従業員全員が忙しく、新たな担当者を決めるための話し合いは半日以上も続きました。結局のところはジャンケンで負けた人が携わることになり、私が取り組む旨が確定したのです。その瞬間から胃が痛み始め、仕事が本格的に始まってからは起床後に嘔吐することが日課になりました。それまで生きてきて感じたことのないほど強いストレスでした。
納期に間に合わなければ違約金を支払うことになり、会社の評判も悪くなって大変なことになると社長は言います。精神的に追い詰められていき、後輩たちのように退職してやろうかと思ったことは一度や二度だけではありません。しかしながら、私には他の会社で働けるだけの能力がないことを自覚しています。逃げてしまえば、さらに辛い毎日が訪れるのは目に見えていたのです。休日返上で働いたり毎日15時間労働を頑張ったりして乗り切ったのですが、そのことから抜け毛が増えてきました。
一難去ったかと思えば、後輩が携わる予定だったプロジェクトの話が進んでいることを社長から聞かされたのです。やり遂げた仕事で培ったノウハウを活用できる内容なので、急きょ私が投入されることになります。もともと別件の仕事が忙しかったのですが、二つの案件を同時進行したとのだから平気だと社長は断言しました。それからは休憩時間も働くことによって、納期に間に合わせることに成功します。ところが、ストレスで食欲が減退して薄毛の進行が始まったのです。
激務を余儀なくされる時期が終わり、ストレスが皆無になりました。抜け毛が気になっていた部分が改善されるだろうと思いました。しかし、なかなか生えてこないどころか別の場所も抜け毛が多くなったのです。会社で辛いことがありすぎて、社屋を見るだけで胃がキリキリ痛むことが原因だと考えました。今の仕事を続けている限りは、抜け毛の悩みが尽きないと感じました。